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これだけは知っておこう!Autodesk Mayaを使った3Dプリント前の下準備とは?!

      2015/06/17

3Dモデラボと開催中の「兜デザインコンテスト」を盛り上げるため、風神雷神をモチーフにした完全オリジナルの兜をデザインしてくれたラス・オギ氏。今回はAutodesk Mayaでデザインされた兜モデルを3Dプリント用に最適化するコツを紹介してもらいます。ブロンズで3Dプリントされた二つの兜もついにお披露目!

 

maya-3d-printing-tutorial-1

まずは3Dモデルを3Dプリント用に最適化する際のよくある質問に、ラス・オギが答えます!

質問1.どうして「水密性」が必要なの?

ラス・オギ「3Dプリントするためのモデルをデザインする際には『水密性』を意識したモデリングが重要。これはどういうことかというと、モデリングソフト上で3Dに見えるだけでなくて、造形したときにきちんと実在する、体積のあるモデルを作る必要があるということなんだ。自分のモデルが造形されたときに、カップのように中に水を溜められるか、またはボートのように水が浸水してこない構造になっているか(穴やひびが入っていないか)をチェックすることが大切だよ。

もっと技術的な言葉で言うと、モデル外側の表面に厚みがあり、ひとつのシェルを形成しているときにそのモデルは『水密性』があると判断される。その他にも表面に施せるデザインの細かさ、解像度、ファイルのサイズ、形式などにも気を配る必要がある。

この面と面の間の幅が「肉厚」。

i.materialiseのブログにもその他のコツが紹介されているから、ここでは割愛することにするよ。STLファイルの解像度についてや3Dプリント対応ファイル形式、最小肉厚などについても参考になるからおすすめ。ここではもうすでに書かれている情報は省いて、モデルを造形可能にするために僕がしている一連の工程を紹介する。」

質問2.実際モデルはどのくらいの大きさなの?

前回のブログに出てきたのは、実はサーフェスモデルと言って体積や肉厚のないモデルだったんだ。肉厚が全くないモデルは実在できない、体積のないモデルということになるから3Dプリントすることはできない。造形用にファイルを最適化するには、まずサーフェスモデルを出力したい大きさに合わせてから、全ての箇所に肉厚を与えて体積のあるモデルにしていく。」

 1と3は肉厚のあるソリッドモデル。2と4は肉厚のないサーフェスモデル。

質問3.どうして始めから体積のあるモデルを作らないの?

「サーフェスモデルをまず完成させれば、モデルを最終的に出力したい寸法に合わせてから、出力用の素材や3Dプリント方法に合わせた肉厚をつけることができるんだ。素材や造形方法や寸法、面の大きさによって必要な肉厚が変わるからね。」

質問4.どうして最終寸法が肉厚に影響するの?

「肉厚のあるモデルを造形するサイズに縮めると、その寸法の縮小率に合わせて肉厚も薄くなってしまうんだ。例えば0.8mmの肉厚があったモデルを4分の1に縮小したとすると、縮小版の肉厚は0.2mmになってしまう。これだと肉厚が薄すぎて造形が難しくなってしまう。

寸法を縮小すると、それに合わせて肉厚も薄くなってしまう。薄すぎる肉厚では3Dプリント自体が不可能になってしまうことも。

肉厚の最小値やどれだけ小さな模様をデザインできるかなど、細かい点は造形に使用する3Dプリンタや素材によって変わる。最終的な造形の方法、使う素材も頭に入れて3Dモデリングするとスムーズに行きやすいよ。

i.materialiseのような3Dプリントサービスなら、通常素材や造形方法に最適なデザインを作るための『デザインガイド』を公開している。この風神雷神兜もブロンズで出力したから、ブロンズのデザインガイドに沿ってモデリングされているんだ。その他の素材を使うときも、デザインガイドはしっかり読んでおこう。」

いよいよAutodesk Mayaでモデルを3Dプリント用に最適化する方法を紹介

「サーフェスモデルに厚みをつける準備が出来たら、”Offset Surfaces”の機能を使ってモデルの内側の壁を作る。フルサイズの甲冑などをデザインするときは、普通3mm程度の肉厚を残すようにしているよ。

複雑なデザインだと、たまにOffset Surfaceがうまく行かないときもある。面が二重になってしまったり、元の面を正しくなぞれていなかったりね。そんなときは前回のMayaチュートリアルでも紹介した、”Control Verticies” (頂点コントロール)を使って修正しよう。

例えばこの部分。先がねじれてしまってサーフェスが2つある状態になっている。これを修正するために使うのが、前回も紹介したControl Vertices機能。今回は、ねじれてしまった部分の先は”blending”機能で1つに統合して、真ん中にできた継ぎ目の部分は”preserve” 機能を使うことでシャープな先端部として保つことができた。

BlendingとPreserve機能を使い分けて、ねじれた部分を統合し、先端はシャープに。

Edit NURBS > Attach Surfaces Optionsで編集。1は"Preserve"機能でシャープな角に、2は"Blend"機能で滑らかな角になっている。

それから表面を滑らかにするためアイソパームを追加する。大きい面にはなるべくアイソパームを追加するようにしよう。

ランダムだったアイソパームを追加して均一に調整。

次のステップは、サーフェスの解像度の調整(Rebuild Surface)。このブログでも紹介されているように、解像度が高すぎるモデルは重くなりやすくて、造形に適しているとは言えない。サーフェスの密度の設定を変更して、3Dプリントに適切な解像度のアイソパームが作られるようにしよう。

1.元のNURBSサーフェス。2.Edit NURBS > Rebuild Surface Options メニュー。3. Rebuildされたポリゴンサーフェス。

Rebuild Surfaceの機能を使う際も、アウトライナ(モデルの各パーツを木構造のチャートのように示してくれる機能)が使いやすいよう、見分けやすい名前を各部位につけることが重要だ。でないとRebuilt Surface1, Rebuild Surface2といった具合に表示されるパーツ名の中が表示されるだけだから、探しているパーツを見つけるのがかなり難しくなってしまう。

アウトライナに表示される部位名が、常にわかりやすいものになるように!

最後は書き出し(export)。どの形式で書き出すかは、造形に使う3Dプリンタや3Dプリント前に使う編集ソフトに合わせよう。僕は通常stl, vrml かobjを使うよ。Autodesk Meshmixerで更に3Dプリント前の準備をするなら、obj形式が一番いいだろう。

初めから終わりまでこの兜プロジェクトをサポートしてくれたi.materialiseチームにはとても感謝しているよ。僕の同僚でプロジェクトに手を貸してくれたジェンセン・ニヘイにもお礼を言いたい。ブログの執筆を手伝ってくれた妻、キムにもね。」

 

苦労の末にできあがった風神雷神兜はこちら!Autodesk Mayaで作られたデザインをブロンズで3Dプリントしたものです。ディテールまで細かく再現されていますね。写真だけでは魅力を伝えきれないこの兜は、今年8月開催のメイカーフェア東京でも展示予定!東京近辺にお住まいの方は、ぜひ会場で本物をご覧ください。

3Dプリントされた風神兜 by Russ Ogi

3Dプリントされた雷神兜 by Russ Ogi

 

兜デザインコンテストの応募はいよいよ6月16日まで!今週末は兜デザインに没頭するのもありかもしれませんね。風神雷神兜のような力作、お待ちしています!

 

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