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【2017年】 3Dプリンターのプレヤーがガラッと変わる

      2015/05/04

たった2500億円の3Dプリンター市場に、「数兆円プレヤー」続々参入!

WSJによると、2015年の3Dシステムズの予想売上高は1000億円、ストララタシスは1150億円だそうです。

現在、この2社で世界の90%ほどのシェアを持っています。
ベンチャー企業だった2社が、30年かけて築き上げた3Dプリンター市場は、たったの約2500億円ほどです。

なぜ、こんな小さな市場に、2014年から、HPや、キヤノン、リコーなど売上げ「数兆円のプレヤー」が続々参入してきたのでしょう?

2014年10月 HP
米Hewlett-Packard(HP)は現地時間2014年10月29日、3Dプリンター向け技術「Multi Jet Fusion」を発表した。同技術を用いた3Dプリンターを2016年にリリースする予定(日経コンピュータ)

図1参照 日経コンピュータ http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/14/103001693/

 

2014年4月 キャノン
御手洗社長は「キヤノンの強みを生かして優位に事業を展開できれば、将来の大きな柱の1つになる」と、独自開発の3Dプリンターに大きな期待を寄せる」
(2014年5月付け日経ものづくりより)

図2

参照 http://techon.nikkeibp.co.jp/article/MAG/20140411/345867/?rt=nocnt

 

2014年9月 リコー
「自社のインクジェット技術のほか、材料や粉体など保有技術を活用して、2016年中をめどに、自社での3Dプリンターの製品化を目指す」(2014年9月 サンケイBIZ )

http://www.sankeibiz.jp/business/news/140909/bsc1409090500003-n1.htm

図3資料 http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20140916/271301/?rt=nocnt

 

2015年1月 ボッシュ(独)
「ドレメル(ボッシュ子会社)はAutodesk社との戦略的パートナーシップを通じて、無料でプリントできる3Dモデルとシンプルなデザイン ツールを提供する」(ボッシュ・プレス・リリースより

図4

参照 http://www.bosch.co.jp/press/group-1501-01

 

ジェネリック 3Dプリンター

今の3Dプリンターブームは、2005年に3Dプリンターの基本特許切れたことがきっかけです。
2009年に、もうひとつの基本特許が切れて、誰が生産販売しても特許侵害にならなくなったのす。

ジェネリック医薬品と同じで、ジェネリック3Dプリンターの価格は、特許に守られた時代に比べ、1/100以下に下がったことで、個人でも買えるようになったのです。

1996年に3Dシステムズ社が設立されています。
特許の有効期限が切れる20年目の2005年に、3Dプリンターの基本特許が切れたました。

そこで、2005年、英国BATH大学のAdrian Bowyer教授が、3Dプリンターのオープン・ソースとして、RepRapをスタートしたのです。

図5日本にも伝わってきたRepRap「片桐号」です。

2009年に、もうひとつの基本特許が切れました。
これで、誰が3Dプリンターを生産・販売してもよくなったのです。

そこで、2009年に、英国にBITS from BYTES(後に3Dシステムズが買収)と、米国にMakerbot(米:2014年にストラタシスが買収)が設立されています。

最初に量産された3Dプリンターは、BATH大学RepRap方式で、10万円ほどで発売されました。

図6写真は3Dシステムテムズ社の粉末式3次元造形機「SLS」です。

特許が切れるまでは、3Dプリンターという名前はなく、3次元造形機と呼ばれていました。

工業用の3次元造形機は、今でも3000万円から1億円ほどの価格です。
したがって、2005年までは、3Dプリント技術は工業用にしか使われていませんでした。

だから、ものづくり産業の人は誰でも3次元造形技術を知っていましたが、一般の人はほとんど知らなかったのです。

2009年から10万円クラスの3Dプリンターが発売されたことで、個人でも買えるパーソナル・3Dプリンターの市場が始まったのです。

yk_02_main

現在、日本で最も安い3Dプリンターは、先日発売されたXYZプリンティング(台湾)の「ダビンチ1.0」4万9800円です。

特許が切れた薬品を「ジェネリック医薬品」といいます。
特許が切れたことで、「ジェネリック3Dプリンター」の時代が始まったのです。

 

2016年に、ジェットノズル式3Dプリンターの特許が切れる

1997年に、3Dシステムズからジェットノズル式の3Dプリンター「ACTUR」(写真)が発売されています。

図7

ACTUR
図1ジェト・ノズル方式3Dプリンター構造
http://www.hs-owl.de/fb7/uploads/media/1_3D_Systems_-_Edelmann.pdf

ジェット・ノズル方式とは、紙用の2Dプリンターで、細いノズルからプリント液を噴射しながらカラープリントしていく方法です。

ジェット・ノズル式3Dプリンターとは、そのジェット・ノズルを使用して、プリント樹脂を噴射しながら立体を作っていく方法です。

紙の上に0.1mmの厚みで、樹脂をカラープリントして、その上に、更に0.1mmづつ何層もカラープリントしていくのを想像すると分かりやすいと思います。

ACTURが発売された当時、私も買ってみましたが、粘性の高い液状のプラスチックを細いノズルから出すので、ノズルが詰まり使い物にならなかったのを覚えています。
販売は2~3年で中止されたと思います。

その後、ジェット・ノズルが改良されて、2005年に米国Z社(現在は3Dシステムズ社が買収)から、フルカラー・3Dジェット・プリンターが発売されました。

図9

OMOTE 3D SHASINKANより
http://www.omote3d.com/gallery/index.html

これは合成写真ではありません。3Dシステムズ社製ProJet X60シリーズのフルカラー・3Dジェット・プリンターでプリントアウトされた、女の子のプリント・モデルです。

 

図10

Fashonsnap.com
http://www.fashionsnap.com/news/2014-02-18/objet500-3d/

これは、ストラタシス社が、2014年に発売したマルチ・カラー3Dプリンター「Objet500」でプリントされた人形です。

フル・カラーとマルチ・カラーは違います

フルカラーは、2Dプリンターと同じように、ジェットノズルから本当のフルカラーを出します。
マルチカラーとは、ジェットノズルからマルチ(多くの)の色を出すのです。

写真をよく見ると分かりますが、マルチカラーは、1度に1本のノズルから1色しか出ていません。

フルカラーも、マルチカラーも、今は300万円から1億円ほどする工業用マシンです。

1997年、3Dシステムズがジェットノズル方式の3Dプリンターを発売してから、来年の2016年で20年経ちます。基本特許は切れるはずです。

2005年と同様に、2016年中には、ジェットノズル方式の3Dプリンターに、「ジェネリック」が起きます。

キャノンもリコーも、3Dプリンター市場に投入する3Dプリンターは、このジェットノズル方式だと言っています。

 

 2015年5月キヤノン
「3Dプリンターの造形方式としてはさまざまなものがある。近年の低価格3Dプリンターでは、熱可塑性樹脂をヒーター内蔵の可動ノズルから吐出する方式が主流だが、キヤノンが開発中の3Dプリンターがこの方式だとは考えにくい。同社の技術的な強みを生かすとすれば、インクジェット技術を生かして、樹脂などの材料を直接吐出したり、バインダーを粉末材料に対して吐出したりする方式が第1候補として考えられる。実際、これ以外にも、レーザー走査など光学系の精密制御技術が適用される可能性もある。」
(日経ものづくり 2014年5月号)

「日経ものづくり」
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/MAG/20140411/345867/?rt=nocnt

2014年9月 リコー「自社のインクジェット技術のほか、材料や粉体など保有技術を活用して、2016年中をめどに、自社での3Dプリンターの製品化を目指す」(2014年9月 サンケイBIZ)

 

HP、リコー、キヤノンは、(紙の)2Dプリンター・メーカー

ボッシュを除き、HP、リコー、キヤノンといった「兆円プレヤー」は、(紙の)2Dプリンター・メーカーです。

専門家に聞くと、今では、粘性の高いコールタールでも噴射することができるほど、ジェット・ノズルは進化しているそうです。
もうノズルは詰まりません。

これまでの30年間は、アメリカの3Dシステムズとスタラタシスの2社が、世界の3Dプリンター市場の90%を握っていました。
それは特許に守られていたからです。

2009年までに、2つの特許が切れたことで、3Dプリンターブームが始まりましたが、その時点では「兆円プレヤー」は参入しませんでした。

しかし、2014年に申し合わせたように、わずか2500億円の市場に、3社の2Dプリンターメーカーを含む4社の「兆円プレヤー」が、続々と参入を発表したのは偶然ではないと思います。

4社で分けても参入に値する市場が待っているからです。

それは、2016年にジェネリックが引き起こすパーソナル・フルカラー3Dジェットプリンター市場だと思います。

2941380-image2
フルカラー3DジェットプリンターでプリントアウトしたJK
参照 http://www.fg-site.net/archives/2941380

2009年から始まったパーソナル・3Dプリンターの大半は、FDM方式と言って、0.5mmほどの細いノズルから1色の溶けたプラスチックを出しながら一筆書きで立体を作る方式です。
いわば、白黒プリンターだと思えば分かりやすい。

図11
FDM方式でプリントアウトしたiPhoneケースとブレスレット

もし、2017年に、ジェネリックで、5万円クラスのパーソナル・フルカラー3Dジェットプリンターが発売されれば、各家庭に1台、3Dプリンターが入る時代になると思いませんか?

私は、それが「兆円プレヤー」の参入理由だと思います。

IBMが、2004年に、PC部門を「lenovo」に売却しました。当時の日本では、「何故?ITの花形であるPC部門を売却?」と不思議に思いました。

しかし、その後、日本メーカーのほとんどは、PCの世界市場で苦戦しています。

IBMは、2006年にプリンター事業をリコーに売却して、2Dプリンターから撤退しています。

あれから10年。
信じられないかもしれませんが、日本でも、先見性のある企業は、2Dプリンターから撤退することを検討し始めています。次の柱が欲しいのです。

キヤノンの御手洗社長は、
「キヤノンの強みを生かして優位に事業を展開できれば、(3Dプリンターは)将来の大きな柱の1つになる」

キヤノンの昨年の純利益は2600億円ほどです。
その7割はトナービジネスから上がっていると言われています。
プリンタービジネスは、まだまだ利益は出ていますが、昨年の決算は下方修正でした。

ちょっと考えてみると分かるのですが、私自信、自宅で、昔のように紙をプリントしなくなりました。大企業では、まだ、会議用に多くのプリントをされていますが、中小企業ではプリントをしなくなっていると聞きます。

IBMのプリンター事業撤退から学ぶとしたら、キヤノンやリコーが、2Dプリンターからの撤退はあり得ることです。
そこで、御手洗社長が言われているように、(その次の)大きな柱と期待されているのが、フルカラー3Dジェット・プリンターではないでしょうか?

 

フルカラー3Dジェット・プリンターなら日本が勝てる!?

コピー機は、自動車と並んで、日本に残っている強いモノづくり産業です。
富士ゼロックス、リコー、キヤノンなどの日本企業が世界の9割のシェアを持っています。

現在発売されているアメリカの工業用3Dジェット・プリンターのジェット・ノズルの85%は日本メーカーが供給していると聞いています。

HPは世界1の2Dプリンターシェアを持っていますが、キヤノンが作っていると聞きます。
ボッシュは、2Dプリンターを作ってはいません。

既に、参入を表明している「兆円プレヤー」のHP、キヤノン、リコー、ボッシュの中で、2Dプリンターを生産しているのは、キヤノンとリコーだけです。

ここに、日本のチャンスがあるかもしれまません。

この30年間、特許でアメリカに独占された3Dプリンター市場。

特許から開放されてジェネリックになるフルカラー3Dジェットプリンター市場では、2Dプリンターのように、日本の独占になるかもしれません。

しかし、日本が勝っても市場が現在のように30年かけて2500億円の市場にしかならないのなら、これほどの「兆円プレヤー」が参入しても面白味はないはずです。

フルカラー3Dジェット・プリンターがパーソナルになり、各家庭に1台入るほど市場が爆発することを予測しているのだと思います。

3Dシステムズや、ストラタシスは売上1000億円ほどの企業です。「兆円プレヤー」のキヤノンやリコーにとって買収するはたやすいはずです。

2017年に、3Dジェット・プリンターの時代になると、米国の先行2社が、「兆円プレヤー」に勝てる要素は無くなると思います。

逆に言えば、日本が3Dプリンターで勝つには、フルカラー3Dジェット・プリンターしかない訳です。

 

3Dプリンターによるイノベーション

このように2017年を元年として、3Dプリンターのプレヤーはガラっと代わります。

ユーザーにとって、フルカラー3Dジェット・プリンターは、現在の2Dプリンターと同じ存在になります。

各家庭に1台はあるが、もう珍しいモノではなくなり、どのメーカーのマシンを買っても、心配なく動くようになります。

3Dプリンターメーカーは、現在と同じように、トナービジネスで十分な利益が上がるようになるでしょう。

結局、生活者にとって、家の中に、フルカラー3Dプリンターがあって当たり前の存在になります。

イノベーションとは技術革新のことではないそうです。
イノベーションとは、生活革新のことだそうです。

SNSで人々のコミュニケーション・スタイルがガラって変わったように、フルカラー3Dジェット・プリンターの出現は、SNSと3Dデータが融合し、人々のコミュニケーション・スタイルに革新をもたらすツールになることでしょう。

 

フルカラー3Dジェット・プリンターはファブリケーション・ランゲージ(モノ言語)

facebookの「イイね!」とか、ラインの「スタンプ」とか、スマホの小さな画面の中で、2次元のスタンプが送られてきて、あんなにオモシロいとは、体験するまで誰が想像できたでしょう?

フルカラー3Dプリンターは、まだ体験した人はほとんどいません。

図12

Robotics Lab http://www.robo-lab.jp/2013/04/26/3d/

夜10時。
もし、彼女から、こんなデータが送られてきて、自宅で、20分くらいでプリントアウトできたら、どんなに嬉しいでしょう。

FACEBOOK社だって、ラインのスタンプがでてくるまで、スタンプのオモシロさを想像できませんでした。

「モノをデータで送る」という体験をするまでは、誰も、どんなことが起きるか想像できないでしょう。

モノを作って、売って、儲ける時代は終わり、
モノを送って、喜びや楽しさを伝えるFabrication Language(モノ言語)』の時代が、すぐそこまで来ていると思います。

そんな時代に大切なのは、3Dデータの作り方や、3Dプリンターの性能や操作のやり方ではなく、「何を作って送れば喜ばれるか」という「アイデア」だけだと思います。

そういえば、2013年に、XYZPrintig社を設立した台湾の金宝集団は、EMSとして、日本のメーカーのプリンターも生産しているそうです。グループ全体の売上は「4兆円」ほどだそうです。ここにも、強力な「兆円プレヤー」が・・・

 

xyz

2013年8月 ワイズコンサルティング
http://www.ys-consulting.com.tw/news/45562.html

 

 

 

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