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3Dプリンターで意志を伝える『ファブリケーション・ランゲージ』

      2015/04/25

「言葉が通じないとき、身振り手振りで意志を伝達することを“ボディー・ランゲージ”と言いますよね。3Dプリンターも、それと同じでように、モノで意志を伝達するツールになるんじゃないですかねぇ。

『ファブリケーション・ランゲージ』

とでも言いますか・・・」

中野ブロードウェイにある「あッ 3Dプリンター屋だッ!!」で、毎週、店番に来てくれるストーンスープのタケちゃんこと竹下良一くんと中村店長が話しているときに出た言葉です。

FL1カタールの大学でワーク・ショップを開いた中村店長です。すっかりアラビアン
通常の2Dプリンターは、紙に文字や絵や写真をプリント・アウトして、人に伝えるコミュニケーション・ツールです。

3Dプリンターも、モノをプリント・アウトして、誰かに何かを伝えるコミュニケーション・ツールになるかも。「ファブ・ランゲージ」かぁ・・・

まだ、「3Dプリンターで、どんなモノできるのか?」を議論している人が多いようですが、私は、もうすぐ、各家庭にフルカラー・3Dプリンターが入るようになると思います。

スマホのちいさい画面で、FACEBOOKの「イイね!」や、ラインのマンガのスタンプで、喜びや悲しみの気持ちを伝え合っています。

あれと同じで、3Dデータを送り合いながら、3Dプリンターで瞬時に(と言っても、最初は10分くらい?)モノができるようになると、モノを通じて、ラインのスタンプどころではないほど、喜びや思いやりなどを伝えることができる「ファブリケーション・ランゲージ」が始まると思います。

図2

カタールの大学の展示物?に座る 左が毛利くん 右が中村店長

今年3月に、Virginia Commonwealth University(米)のカタール校から招待されて、毛利 宣裕くん(TOKYO Maker)と中村店長の2人が、大学が開催するイベントの中でワークショップをすることになりました。

図1

TOKYO Makerのワークショップ会場です。
バレンチーノが、キー・ノートをするくらいの大きなイベントでした

中村店長は、かなり英語を話せますが、毛利くんは、「僕はボディー・ランゲージでいきます」と、宇宙飛行士の甥とは思えない発言。

図1

さすが、日大芸術学部大学院を卒業した中村店長。
企画したワークショップのテーマは、3DCADの123Dと3Dプリンターを使って「日本のライフスタイルと文化を伝える」ことでした。

ワークショップの名前は、「3D ajeeb(アジーブ)」。「3Dヤバイ!」のような意味。図2

 

ワークショップの始めに、各人の名前をカタカナで書いて3Dプリントした名札を配ったそうです。

図3

↑去年まで日本に留学して現在はVCUでグラフィックデザインを教えているマリヤムさん

4日間のワークショップに20人が参加。1週間のエベント開催中は、ワークショップ出席者はこのカタカナ名札をつけていました。

ワークショップの目的は、3DCADと3Dプリンターの使い方を教えて、参加した人が、自分で作りたいモノのデータを作り、プリント・アウトできるようにすることです。

図4

3DCAD-123Dを教える中村店長。真剣な表情ですが、店長のヒゲはすっかりアラビアン。この日に合わせてヒゲの長さを調整して行ったそうです。

 

図5

「日本のライフスタイルと文化を伝える」というテーマに沿って、まず、箸の目的を伝え、3DCADで自分の好きなデザインの箸を作ってもらいました。

 

図7

チョット箸ではないみたいな。独創的・・・

 

図8

自分の名前を入れた箸。

図9

自分だけの箸を持って嬉しそう。

図10

キーノートまで使って箸の持ち方を使って教えました。カタールはお金持ちの国なので、今流行の日本食を知っていて、半分くらいの人は持ち方を知っていました。

図11

ワークショップでは、東京とドーハをGoogleハングアウトでつなぎ、東京からもプレゼンテーションをしました。
真ん中の3Dプリンター担当の毛利さんも、ボディー・ランゲージと「ファブリケーション・ランゲージ」ですっかり人気者です。
東京側の画面に写っているのがタケちゃん。

 

図12

箸だけでなく、箸置きもテーマにしました。これは、アラビア文字の箸置きです。

 

図13

こんなのも。

図14

大切なのは、この自慢そうな微笑ですね。

図15

日本の文化「マンダラケ」について説明する中村店長。アラブっぽいスカーフ。

次の日は、カタカナUSBです。
日本から、超小型のUSBを持っていって、カタカナで名前を入れたUSBケースを作るプログラムです。

図16

これは、「ヤスフェイキル」さんという人が作ったUSBです。

図17

海外の歌手が漢字のタトゥーなどを入れていましたが、今は、カタカナが流行り。
カタカナはカタールでもCOOLだと思われています。
参加者全員が自分の名前の入った「カタカナUSB」を作って、とても喜んでくれました。

今度は、何を考えているのでしょう?
図18
沢山のアイデアが出てきました。
図19

何をつくるのでしょう?
図20

日本から選択バサミを沢山持っていき、片側をデザインして遊ぼうというプログラムです。

これは、中村店長の日芸の後輩の山本惣一くんのアイデアです。
このアイデアは、「LOFT & FAB Award 2014」で入&FAB賞になっています。

図21

カタールまで行くと、ちょっとアラビックなデザイン
図22

 

雨から何を守るのでしょう?
図23

チュッパ・チャップス・ホルダーです。飴を舐めてて、トイレに行きたくなったときなどに、チョット飴を置いておくのに便利そうですね。

この、アイデアは、ワークショップに出席したアメナという女性と、中村店長との合作でした。

図24 中村店長とアメナ

洗濯バサミに、最初に穴をあけたのは、アメナだったそうです。
アメナは、洗濯バサミの柄に穴を開けてはみたものの、何に使えば良いか迷っていたそうです。

それを見た中村店長がひらめきました。
「チュッパ・チャプスってあるじゃない。あれを入れたら?
今日、帰りにチュッパ・チャプスを買って、棒の直径を計ってくるといいね」とアドバイス。

「アメナがあけた洗濯バサミの穴の画面を見るまで、僕も、チュッパ・チャプスは思いつかなかった。これって、モノを通じた連想ゲームのような感じですね」と店長は言います。

確かに、モノを見ることで刺激され、「チュッパ・チャプス」の発想が涌いたのであり、「穴の開いた洗濯バサミの柄」という言葉や文字だけでは思いつかないでしょうね。

モノを見ながら、互いの脳を連動させる。これも、「ファブリケーション・ランゲージ」と言えなくもない。

 

図25

3Dプリンターで作ったYOYOで遊ぶカタールの男性 東京側の画面の女性は国籍不明のツボンヌさん。

図26

手動式3Dプリンター「ドゥードゥラー」でモノを作る毛利くん

 

図27

毛利くんがドゥードゥラーで作ったハートのブローチをもらって、この笑顔です。
会ったことのないドーハの女性と、画面の中のタケちゃんのツーショット。

 

図28

毛利さんが5分で作ったピンクのブレスレットをもらった女性も、この笑顔

 

図29

最後は、自分で作ったモノを持って、みんな、こんな素晴らしい笑顔

ここまで書いても、

「ファブリケーション・ランゲージ」

とは何かを明確に文字にすることができませんでした。

でも、感じたことは、文化がまったく違う異国の地に行って、初めて出会った人と、飽きることなく4日間過ごし、最後は、全員がこの笑顔になるということは、「ファブリケーション・ランゲージ」で、喜びや楽しさを伝達できたことは確かだと思います。

「イイね!」や「スタンプ」などをもらうと嬉しいですね。送るのも楽しいですね。

でも、FACEBOOKやラインがでてくるまで、誰が、「イイね!」の数で、人が喜んだり、心配したりすることを想像できたでしょうか?

経験するまでは誰も想像できなかったと思います。

それと同じで、3Dプリントという行為が、「ファブリケーション・ランゲージ」として、どれほどの伝達パワーがあるか、実際に経験するまでは想像することはできないと思います。

毎日3Dプリントしている私たちにとって、半年ほど前から、3Dプリンターというツールそのものではなく、そのツールで、どうやって喜びや楽しみを、相手に伝えることができるようになるのかということに、興味が移っています。
図30

無事ワークショップも終わって、お土産買って、帰国前日の毛利さんと中村店長

2017年くらいには、家庭用フルカラー・3Dプリンターが発売されていると思います。

 

 - 3D Print Sample, 3DPrint NEWS ,

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