Un-industrial (非産業化)

《あッ3Dプリンター屋だッ!!のコミュニティサイト Produced by TOKYO-MAKER》

Now is the fab time! ––– これからの《つくる》という行為について

   

はじめまして!
今春4年に進級した、日本大学藝術学部デザイン学科に所属するスギハラと申します。この度[あッ 3Dプリンター屋だッ!!]店長の翼さんにお声掛け頂き、記事を投稿するに至りました。
3Dモデリング・プリントを用いて取り組んだ大学での制作、外部での発表や活動を通して感じている、これからの《つくる》という行為についてわたしなりにまとめ、紹介させて頂きます。

 

3Dプリンターの初見は大学2年の春、教授が Solidoodle2 を購入されたことを機に友人たちと見学しつつ少し触れ始めました。しかし当時は選択講義を建築系に絞っていたので、3Dプリンターを用いた授業を受講しておらず、自らでモデリングから出力までを体験したこともありませんでした。
2年の終わり・春休み以降は志望分野なども見据え、3Dプリンターを活用したプロジェクトや講義に参加をしました。ここからは、それらを紹介しながら論点を絞っていきたいと思います。

 

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3年生へ進級する直前、教授の立案企画の元、友人数名とワークショップに参加しました。目的は単純明快、3Dモデリング・プリントを体験することで、アイディエーション、イメージスケッチ、ラピットプロトタイプ、電子工作などの手法も交えながら2日間で各々《動くもの》をつくろうという計画でした。
つくりながら考えていった結果《描くもの》を参加メンバー全員で手がける運びとなり、鉛筆を装備した“なにか”を描くロボットのようなものが出来上がりました。

 

▼ワークショップサイト

 

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以後何度かパーツの修正などを行った末、ファブラボ渋谷がストラタシス ジャパン社とコラボレートし開催された《3DP Fab Challenge》プロジェクトで成果報告を行いました。

 

▼プレゼンテーションスライド

 

Autodesk 123D Design を用いたモデリング作業、大学の機材として導入されたUP!でのプリントと、初体験のトライアルではありましたが外部での発表まで出来たことはよい挑戦でした。またプロジェクトを経ての意見交換・共有をさせて頂けたり、3Dプリンター活用を通して得ることの出来た出会いが何よりも大きい収穫です。
イメージやアイデアが具現化することの意義を大いに感じた2ヶ月間でした。

 

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2014年6月末までの1ヶ月半でオブザベーションから始まり、人の行為を変化・向上させることをゴールに、《暗闇で描く》ことを授業内課題として与えられたグループワークでの成果物です。LEDモジュールを内蔵させるプロダクトをモデリングし、出力することが条件として与えられました。
メンバー3人での度重なるプロトモデル制作を経て、グリップ部が点灯し、市販のペン軸を挿入するペンホルダーを完成させました。

 

▼成果報告ページ

 

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前述の、初春に体験したワークショップで得た知識を生かし派生させ、グループメンバーと何とかものに出来たという手応えで、プロダクトとしての完成度や細部へのこだわりは低いかと思います。
この課題で重きの置かれた点は、常日頃のひとの行為から問題点を抽出し、なるべく短時間で解決法を導き実装に落とし込むこと、そしてその制作物を実際に使用し、新たに浮上した不具合を改善すること、これらを数回繰り返す作業です。短期間で的確な成果を挙げる制作方法の鍛錬であったように思います。
また、このグループはランダムに組まれたメンバーなので、日頃学ぶ分野やベースとして履修している授業が異なります。入学から顔見知った関係とは言え、持つスキルや得意な作業にも幅があります。3Dモデリング・プリントはまだ限られた学生でないとこなせないものであったので、グループ内外で教えあいながら進めていけたことにも大きな意義がありました。

 

また、月日経って去る2014年11月末に開催されたMaker Faire Tokyoに教授・有志メンバーで出展参加もしました。3Dプリント関連の参加者がブース周りに多くいらっしゃったこともあり、各々の成果物・制作工程の経験を伝え合う機会にもなりました。

 

▼出展紹介ページ

 

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《食とインタラクション》をテーマに個人で取り組んだプロジェクトです。
食を取り巻く周辺をよりよくし、既存のひとの行動を変化させることのみがゴールとして設定され、現場観察・問題提起・解決策提示までを個人で立案し、プレゼンテーションまでを授業内課題として行いました。
食材の生産・調理法に介入するのではなく、デザイン手法を用いて食事という行為や、調理する場の改善案を示すことが要点であったと思います。

 

▼プレゼンテーションスライド

 

わたしはこの提案の手法として《ワークショップ》を設定しました。
参加者が日頃の食事を思い返し、気に留まり不満に感じる点を意識的に考え、その行為を解決させる “食にまつわる1アイテム” を自身でつくりあげるという内容です。着想・立案のフォーマットとして[ Idea sheet ] に書き込み、スタイロフォームにて簡易的に立体におこし、デジタルに変換・3Dモデリング、プリントして実際に使ってみるというのが主な流れです。
ワークショップ内容の構想を練った後、実際にデザインワークとして成立させることが可能か実証してみました。

 

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このワークショップの肝は《あえて》です。
総じて『食べることに向上心のある人』が複数人集まり、あえて問題点を挙げ、イメージを数値化して実際に触ることのできるものに仕上げますが、その成果が必ずしも良質とは限りません。いつもより不便になる可能性もあるのです。
わたし自身、上記写真のようにスプーンをつくってみましたが、3Dプリンターにて出力されたものはペラペラで、液体を口に運ぶどころか食べ物を掬うことさえ出来ませんでした。立体造形の知識が薄いことと、モデリングのスキルが浅く掛けた時間も短かったのでこのような結果になってしまいましたが、裏を返せば多くのひとがこのような目に遭うとも言えるでしょう。
しかし、ここに掛けた時間と労が無駄になることは無いと思うのです。日頃の営みにあえて切り込み、プロダクトを設計すること・生産することが如何なるものかを身を以て知る機会となるはずです。生活から学びを生むことが出来ると思います。

 

このワークショップにおいて、3Dプリンターの使用は手法の一部です。製品の製造工程に掛かる手間暇を省き一品から造形することが出来ますし、水に浸けても大丈夫、ある程度なら口に触れても差し支えありません。この企画にはぴったりのツールだと思い、手法に取り入れた次第です。
今となっては3Dプリンターを始め多くのデジタルファブリケーション機器が汎用されていますが、その利便性に引っ張られて『早く、楽に、安く』という点が踊っているようにも感じています。しかし、核はもっと深い部分にありますし、真意を知るひとはその点を伝えていく場が必要です。[あッ 3Dプリンター屋だッ!!]は正に、そんな空間であり、学びを相互に得ることの出来る場なのではないでしょうか。そしていつの間にか、ものをつくることに楽しさを覚え、奥深さにハマっているひとが増えている・・・そんな面白いこれからの世の中をつくっていくのでは、と思います。

 

Now is the fab time!
––––– 思い立ったが吉日。悩む前に作り始めてしまおう、という意を込めて。

 

わたし自身、これからもクリエイティブな現場に赴き、実際に体感して得た知見を派生させて企画や制作を行っていきます。どこかでお会い出来る機会がありましたら、どうぞ宜しくお願いします!

 - 3D CAD Technology, 3D Print Technology, 3DPrint NEWS , , ,

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