Un-industrial (非産業化)

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【Un-industrial 非産業化への思い】

   

 

非産業化

 

2号店のテーマである「Un-industrial 非産業化」を考え始めたのは、昨年8月頃です。
60代の作業着を着たオジサンが中野ブロードウェイ1号店に、壊れたプラスチックの歯車を持ってこられ、「これを直せるか?」と聞かれたのがきっかけでした。下の写真には白とピンクの歯車が重ねて写っています。持ってこられた歯車は上の白い方で、直径7cmくらいで、歯が3枚しか残っていませんでした。

歯車

 

「これは、何の歯車ですか?」

「家で使ってる小型のコンクリートミキサーの歯車だよ。この白い歯車をモーターにつけて減速するんだけど、長い間使ったから、割れてしまった。古いからメーカーそのものがなくなってしまっていて直せない。この店の話を聞いた、ここなら直せるかなって持ってきたてみた」

「どこから、来たんですか」

「築地から」

「わざわざ、この歯車のために?」

「うん。ここで、できないって言われたら諦めるよ」

「歯車屋さんで、削ってもらえばできますけどねぇ、1個だけ削り出しは高いですよねぇ・・。じゃあ、うちでやってみますから、もし、できたらデータとプリントで2000円くらいですけど良いですか?」

ということで、歯車を作ることになりました。

歯車を測定しようとしても、中野には測定器はありません。そこで、3枚しかない歯車を真上からiPhoneで写真を撮って、イラストレータで写真をなぞって、3枚の歯車の輪郭を描きました。輪郭の線を3DCADに持っていき、ピッチが同じになるように、全周の歯車を配置しました。白い歯車の一番下の歯を見てもらうと分かると思いますが、1枚の歯の右側の歯だけが変形してます。これは、右側の歯の回転方向だけに力がかかって、長年かけて削られたものです。そこで、全く痛んでいない左側の歯の形状を左右対称にひっくり返して、右側の歯を作りました。これで、新品のときと同じ形になるはずです。

こうしてできたデータを、3Dプリントしたものが、下側のピンクの歯車です。何度かつ作ってみて、白い歯と、ピンクの歯のサイズがぴたりと合うように調整しました。築地のおじさんは、大喜びで持って返られました。持って帰られて連絡がないので、きっと動いていると思っています。データに2時間ほど、3Dプリントに1時間ほど。

40年ほど前に買った、直径が1mほどの古いコンクリート・ミキサーの歯車が壊れたから、歯車だけを直すという発想は、これまで浮かばなかったのではないでしょうか?

アメリカでは、30年ほど前に、鉄鉱石から鉄を生産する高炉はなくなったそうです。なぜなら、アメリカには、既に、毎年アメリカが使用する鉄の量より、毎年出る鉄のスクラップの方が多くなっているからです。スクラップを溶かして鉄を再生すれば、鉄鉱石を掘らなくても、アメリカで使用する鉄の生産は間に合うのです。もしかして、自動車も、テレビも、洗濯機も、スピーカーも、日本でも、もう生産しなくても十分あるのではないかと思うようになりました。

何故、私たちは、新しい自動車や、テレビを買うのでしょう?製品が壊れたら、上述のコンクリート・ミキサーの歯車のように直して使えば、わずかなエネルギーで製品を再生できると思いました。これまでは、製品を修理するのは、メーカーが独占していましたが、壊れた部品を自分たちで作れば、高いお金をだして修理してもらったり、買い換えたりしなくても良いんじゃないか。その方がどれほど地球に優しいかと思い始めたのです。

昨年、中国市場でサムソンが負けてといわれているXiaomi社製100ドルのスマホがあります。今年、深圳(シンセン)では、10ドルのスマホが発売されるそうです。1000円です。実際に見た人の話では、全く問題なく使えるそうです。携帯・スマホはこの20年間、成長し続けている唯一の産業です。産業革命以来、自動車まで多くの産業が出現しましたが、最新のスマホが1000円になることは、この250年間の産業化は進化の最終段階ではないかと感じました。

携帯電話という産業が始まって、たったの25年間で、一時は世界シェアの60%を持っていたNOKIAがなくなり、シャープやパナソニックをあそこまで追い込んだサムソンでさえ負ける。これほど新しい産業でさえ一気に進化が進むのであれば、50年ほど前から身の回りにあるほとんどの製品は、実は築地のオジサンの古いコンクリート・ミキサーのようなモノではないかとかと思い始めたのです。ちゃんと回ってくれれば古くても良い。

部品を直して使う。古い産業形態で生産される新しい製品は、なるべく買わない。欲しいものは自分たちで作る。この考え方を「Un-Industrial」と呼ぼうと決めました。

現在の3Dプリンター・ムーブメントは、2005年と2009年に、3Dプリンターに関する基本特許が切れたからです。特許が切れたことで、誰でもが3Dプリンターを作れるようになりました。3000万円から1億円くらい出さないと買えなかった3Dプリンター(工業用)が、今では6万円で、個人でも買えるようになりました。今年は、6000円の3Dプリンターも発売されると聞いています。

この20年間、携帯とスマホ以外、新しい製品は出現していません。特許の有効期間は20年間です。1995年以前から売られていた製品の全ての基本特許は切れています。欲しいものは誰でもが作れる楽しい時代が始まったと思います。

 

 

 

 - Re-manufacturing, Un-Industrial

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