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【3Dソフト】すたれたストラタ 再会編「一途な恋心。~好きさ、そんな君を、今も~」

      2015/05/05

ストラタ」という3Dソフトがあります。

90年代の初期、FPU(浮動小数点コプロセッサ)を搭載したQuadraという新型Macが登場し、これで個人でも3DCGが制作できるようになったぞと言っていた頃に人気だった3Dソフトが「ストラタ」です。

ストラタはイラストレーターで作った図形や文字を簡単に立体化できました。当時のMacユーザーはほとんどがグラフィックデザイナーだったからとても相性が良かったのです。また、ストラタはわかりやすいインターフェイスで初心者がすぐにモデリングでき、レンダリングもきれいで、特にレイトレーシングは非常に美しい仕上りでした。価格も安めで、日本語版で、アニメーションもできる、当時のデザイナーにとってはまるで夢の様なソフトだったのです。今なら数秒でできるレンダリングに、平気で一日かかっていたし、一日待ったあげくメモリ不足のエラーが表示されたりもしましたが、めげずにチャレンジし続けたのは私だけではないでしょう。ちなみに当時のMacはマルチタスクが脆弱で、レンダリング中は他の作業ができませんでした。

ストラタでつくった作品「chiyogamix 2002」

しかし、その後いろいろな3Dソフトが登場し、高機能化が進む中でストラタは人気がなくなり忘れ去られていきました。
私は頑にストラタを使い続けてきましたが、ここ数年は殆どの人が知らないし、知っている人からはまだ使っているのかと笑われるようになっていました。
私が使い続けてきたストラタ2.5.3のリリースノートは日付が1998年となっています。Macのクラシック環境でしか作動しないから笑われて当然かも知れません。クラシック環境のMacが壊れたら作品のデータは再生できなくなってしまいます。これは笑い事ではありませんが、CGの宿命かと思いあきらめていました。だが最近、なんとMacOSXに対応したバージョンが販売されている事をネットで知ったのです。とっくにつぶれたと思い込んで調べていなかった私が悪いのですが、つぶれていなかった。

ごめんねストラタ。

しかも最新版では3Dプリンターを意識してSTLファイルの読み書きもできるではありませんか。
早速「これさえあれば鬼に金棒ですぜ」と社長にねだって最新版ストラタを買ってもらいました。そしてインストールしてびっくり。十数年ぶりのストラタはどこが新しくなったのか探さないとわからないくらい、ほとんど何も変わっていなかった。相変わらずブーリアン演算をするとポリゴンが無茶苦茶になります。

ブーリアン演算
ブーリアン演算とは、重なった立体と立体を合体してひとつの立体に一体化させたり、重なった部分だけを残したり、もしくは消去したりする機能で、特に3Dプリントするためのモデリングでは重要なポイントとなります。なぜなら3Dモデルが一体化されていないと、3Dプリンターで出力する際にエラーが出てしまうからです。
通常の3DCGはレンダリングをするためのモデリングであり、立体と立体が内部で重なっていたとしてもレンダリングには影響がないので、一体化させる必要がありません。だから例えばネット上にあるフリーの3Dデータをダウンロードして3Dプリントしようとすると、このように重なった部分のあるデータがほとんどであるため、3Dプリント出来ない事が多いから注意しましょう。

レイトレ
さて、ストラタの話に戻ります。ストラタで最も評価される部分はレイトレーシングです。
現実世界では太陽や電灯などが発するレイ(ray:光線)が物体に当り、反射し、目に届いています。レイトレーシングはこのレイをカメラの視点から逆に追跡しシミュレートするレンダリング方法です。
3Dプリントのためにはあまり関係なさそうですが、今後はカラー化が期待されているので、関係してくるかもしれない。完成状態を正確に把握できるようになります。
また3Dプリントをきっかけに、3DCGの世界に目覚める人も出てくるでしょう。

ただし美しいレンダリング結果を得るためには様々な設定が必要となります。まずはモデルに対して、マッピングした表面の反射率や拡散率などの質感を設定しなければなりません。カメラにはアングルやレンズや被写界深度などを設定します。

ライティングも重要で、光源の数、大きさ、位置、角度、明るさなどを細かく設定する必要があります。
プロのカメラマンがスタジオ撮影したかのようなレンダリング結果を得るためには、少なくともプロのカメラマンと同じスタジオ撮影のノウハウを知り、仮想の3D空間にスタジオのセッティングを再現できなければなりません。

ストラタでつくった作品「職人魂」

さて、ストラタの話に戻ります。
新しいストラタをまだ使い込んでいないので、実際にはどれほどの性能アップがなされているのか、3Dプリンターとの相性はどんなものか、何ともいえません。一見十数年前から進化していなさそうに見えるけど、しかし私はそれがむしろ嬉しい。そしてこのストラタをまた使い続けるだろう。君のままでいてくれてありがとう。同窓会で再会したかつての恋人に熱い想いを再び燃え上がらせるがごとく、今度こそ俺はおまえを離さないぞと心に誓ったのでした。
これからスタートする私とストラタの新生活。新しいストラタを使いながら日々の発見をここに綴っていきます。

こんな私たちをどうかやさしく見守ってください。

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