映像ディレクターが初めて3Dプリントした動画に挑戦!!その結果とは?!
はじめまして!
ヒラマキと申します!
普段は東京の制作会社で映像ディレクターとして働いています!!
この度東京メイカーさんのご協力によって、はじめて3Dプリンターを使った映像作品づくりをしてみましたので、3Dプリント初心者目線での率直なレビューと、3Dプリントが映像制作においてどのような役割を果たすのか(果たせそうなのか)について簡単に書かせていただきたいと思います。
今回わたしが制作しようと考えた作品は「走っている人形の後ろをカメラが追いかけるような映像」といった内容のものでした。
実際に人形はひとりでに走れないので、走っている様子の人形を連続写真のように複数体3Dプリントして、それを一体ずつ映像に収めていこうと考えました。いわゆるコマドリというものです。
それを実際につないだテスト映像がこちらです。
元々3Dソフトでアニメーションを制作しているので、雑に撮影してもかなり滑らかに動いてくれます。
全部で20体の人形を使っていて、1秒間に約10コマ動く計算でやっています。
ただ、ここまでたどり着くのは思っていたほど簡単なものではありませんでした。。。。
その工程と予想外の壁について簡単に説明したいと思います。
1.3Dモデル制作
3Dのモデル制作にはadobeのFuseというソフトウェアを使って、簡単に作ることができました。
またFuseはMixamoという3Dアニメーションのウェブサービスと連動していて、そこでアニメーションをつけました。
このFuseとMixamoの連携は、3Dソフトの知識がほとんどない僕でも簡単に制作できたと思います。
2.3Dプリントサービスを選ぶ
じつはここが一番の壁というか、僕の認識が甘かったのですが、
3Dプリントはやたらお金と時間がかかる
ということです。
今回僕の作品では15センチほどの人形を20体つくる必要がありました。
ほとんどの3Dプリントサービスは基本的に時間貸で、
作るものが大きかったり、量が多いとその分お金がかかってしまいます。
いくつかの3Dプリントサービスに確認すると、1時間1000~2000円でプリンターを貸してくれるところが多い印象でした。
今回の人形は一体あたり4~5時間ほどかかります。
ぼくは30分ほどで1体くらいできるものなのかと勝手に思っていましたので(笑)
想像以上にお金と時間がかかることにびっくりしました。
ですので、今回は本当に東京メイカーさんのご協力なしではできなかった制作になったと感じています。
3.プリンターにSTLデータを読み込む
いざ制作したアニメーションデータを一枚ずつSTLデータで書き出して、3Dプリンターに読み込むとなぜかエラーがでてしまいうまく制作できません。
じつは3Dプリントにはよくある話らしく、3Dデータがしっかりと整理整頓されていないとプリンター側がうまく読み込んでくれないことがあるそうです。
調べればいくらでもでてきますが、モデル修復のwebサービスや無料アプリがあるのでそれらを使ってSTLファイルを修復します。
それからプリンターにデータを読み込むと、エラーなしで制作することができました。
windowsしか対応してませんが、netfabbというwebサービスがわかりやすかったです。
4.出来上がった人形のバリ取り
これも初めて知ったのですが、3Dプリンターから出来上がったものには最初土台のようなものがついています。
これをニッパーで外して、うまく取れなかった部分を紙やすりで削り、着彩をしました。
土台もつけて、番号をふりました。
制作時間短縮のため、プリントの層を荒くしていたので、どうしてもこのような年輪のようなものがでてきます。
そこは固形のサーフェイサーや粗めの紙やすりで凸凹を滑らかにしていきます。
ただ、今回は体の大きさの個体差をなるべく小さくしたかったので、あまりにも立つ年輪以外は手を加えないようにしました。
ここまできてようやく映像制作に取り組めます。
できた映像はというと、とあるコンペにいま提出中なので、ここでは公開できないのですが、
お知らせできるような状況になればここでまたご報告できたらなと思います。
今回はじめて3Dプリントを実際に体験させていただいて、
画面内で制作していた物が目の前に出てくる感動を味わえたことはとても良かったと感じています。
普段から映像制作に携わるものとして完成物はすべて画面内で完結していました。
それが実際に手にとって触れるものを自分の思い通りに、しかも手軽に作れるということが嬉しかったです。
映像制作もカメラやソフトウェアの発展によって、いまでは誰でも映像を作り、編集し、公開できる時代になっています。
またCGのソフトウェアも僕がつかったFuseをはじめ、様々なサービスが存在し、3Dに対するハードルはかなり下がってきています。
小さな規模で映像制作する場合、自分でつくった3Dモデルを簡単にプリントできることは
映像の中の美術や小道具としてそれを使っていくことでワンランク上の映像作品が出来上がる可能性が十分あると思いました。
よりイメージしているものに近づけるために、3Dプリントは効果的だと感じました。
これからも機会があれば積極的に使っていきたいと思います。
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