3Dプリントを使ったビジネスを成功させるために、知っておくべき3つのこと
皆さんは「3Dプリントを使ったビジネス」と聞くどんなものが思いつくでしょうか。3Dプリンタが多くの人の日常生活の中に浸透しているとは言いがたい今、具体例を思い浮かべるのは少し難しいかもしれません。でも最近では3Dプリントをテーマにしたビジネスコンテストが開催されるなど、3Dプリントを実用的なビジネスに応用していく動きも活発化しています。今回は3Dプリントを使った起業や新規事業参入を考えている人が知っておくべき3点をまとめました。
1.3Dプリントでしか実現できない製品やサービスこそ、新たな価値を生む
起業や新規事業参入となれば、まずはビジネスプラン構想を練ることからプロジェクトが始まりますね。3Dプリントを使ったビジネスを考えているのであれば、一点モノが低いコストで製造でき、複雑な形状も造形できるという3Dプリントの魅力を最大限に活かしたものを考えてみましょう。「3Dプリントで作られたこと」のみが売りの商品やサービスでなく、「伝統的な大量生産式ではなく3Dプリントだから実現できた」ものこそ、新たな価値を創造できます。

One_Shot.MGX by Patrick Jouin
3Dプリントでは、従来の製造方法では実現不可能だったデザインも形にすることが可能になります。その好例はフランス人デザイナー、パトリック・ジュアンのデザインした椅子「ONE_SHOT.MGX」。ヒンジやネジなど一切なしに、全てを一度にポリアミドで3Dプリントしたこの作品はモダンアートとしても高く評価され、ニューヨークの近代美術館MoMAを始め多くの美術館に展示されています。
ONE_SHOT.MGXはその美しいデザインだけでなく、組み立ての工程が要らないのでコストや手間を削減できる点、細長くたたんだまま運べるので物流も効率的に行える点など、3Dプリントという技術の魅力を存分に活かした作品と言えるでしょう。
2.消費者と「一緒につくる」のが、これからのものづくり
3Dプリントを使えば消費者がものづくりの過程に積極的に関わり、自分だけのカスタマイズ製品を簡単に制作できるようにもなります。3Dプリントなら全てデザインの違うアイテムをひとつずつ100個作っても、同じものを100個作っても、かかる時間やコストは同じだからです。

実現されるマス・カスタマイゼーションとは、消費者も製品デザインに参加していくこと。3Dプリントを生産方法として選べば双方向型のものづくりがしやすくなります。© Musen Lin
一般消費者がものづくりの過程に参加できるこうした動きは「マス・カスタマイゼーション」とも呼ばれます。3Dプリントをうまく利用すれば、デザインする作業はデザイナーだけのものでなく、私たち消費者のものにもなっていくという訳ですね。

Twikitでパーソナライズできる製品の一部。好きな文字入れ、帽子などのアイテム追加やカラー変更も簡単!あなたのデザインを3Dプリントすればかわいいランプが完成します。
マス・カスタマイゼーションを実際のものづくりの工程に取り入れているスタートアップも既に存在します。その代表例がTwikitやJweelなど、ベースデザインを元に誰でも製品をカスタマイズ&3Dプリントできるサービス。3Dプリントを利用する際の一番大きなネックになる「3Dデータの作り方がわからない」という問題を解決し、専門知識なしでも自分だけのアイテムをデザインして3Dプリントできるので、一般の方にも非常に使いやすいのが特徴です。

こちらはJweelの指輪作成サービス。好きな文字をタイプするだけで指輪が完成。金属で3Dプリントされた製品が自宅に届きます。
お子様のプレゼントにぴったりなかわいいランプ、シルバーのネックレスや男性向けのアクセサリーまで、カスタマイズできる製品も様々。同じ要領で眼鏡フレームやフィギュアなどをパーソナライズできるようになれば、無限に用途が広がりそうです。
3.賢い資金集めと設備投資のリスクを減らす方法を見極めよう
3Dプリントを使ったビジネス案が完成しても、まとまった資金がなければ事業を大きくすることはできません。そんな時はスタートアップの資金繰りを助けてくれる様々な機関やサービスの利用を検討してみましょう。その代表例がクラウドファンディングです。
i.materialiseのユーザーの中にも、アイデアを3Dプリントしてビジネス化するべく、KickstarterやIndieGoGoなどのクラウドファンディングを使って資金調達に成功した方が多くいます。ポケットサイズのソーラー充電機や指輪と一体化したUSBメモリなど、ブログでもそのうちのいくつかを特集しました。どちらもアイデアの実現にうまく3Dプリントを取り入れた製品です。

USBを3Dプリンタ製指輪にはめこむことで、ここまでおしゃれに。Photo credit: Ming Wu
また一口に「3Dプリント」といってもその素材やクオリティは様々。家庭用3Dプリンタはプロトタイプの製造にはとても便利ですが、最終製品を3Dプリントできる品質を出せるものはまだ少ないのが現状です。かと言って業務用の高性能3Dプリンタ購入には何千、何億もかかり、メンテナンスも大変。大きな設備投資にはリスクも伴います。
そのため上記のTwikitやJweelといったサービスは自前の3Dプリンタは持たず、i.materialiseの3Dプリントサービスを活用することでコストと設備投資のリスクを削減しています。APIと呼ばれるシステムを使うことで、それぞれのウェブサイトで作成された3Dデータはi.materialiseのサーバーへ自動的に送信。i.materialiseの工場で3Dプリントされ、最終製品へと仕上げられます。梱包された商品は3Dプリント工場から直接お客様のもとへ届けられるので、物流についての心配もいりません。

サービス開発者、ユーザーそして3Dプリント工場を自動につなぐのがi.materialise API

Twikitの顧客は、Twikit専用にカスタマイズされたパッケージで製品を受け取ります。
APIについての詳細、ケーススタディ等はこちらから(英語のみ)。APIの中にも様々な種類があるので、実現したいサービスや用途に最適なものを選ぶことができます。既にアイデアを3Dモデル化している人は、こちらにデータをアップロードして自動見積りを試してみましょう。ビジネス案を練る前に3Dプリント技術についてもっと知りたい方には「今さら聞けない?知っておくべき基本の3Dプリント技術6つ」がおすすめ!
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