Un-industrial (非産業化)

《あッ3Dプリンター屋だッ!!のコミュニティサイト Produced by TOKYO-MAKER》

マルチカラーで3Dプリントするなら必読!パーフェクトな色付きモデルを出力する5つのコツ

   

色付きの3Dプリントができる「マルチカラー石膏」。コンピュータで色付けしたモデルを直接3Dプリントできるとあって、フィギュア制作をしている方などに特に人気のある素材です。でも実際に3Dプリントしてみたら「思っていた色と違う…」ということもしばしば。鮮やかな発色を実現するには少しコツがいるのです。そこで今回は色付き3Dプリントをするなら抑えておきたい5つのポイントを紹介。鮮やかな発色を実現するコツからファイルのアップロード方法までお伝えします。

こんな鮮やかな色まで出せるのがカラージェット3Dプリンタの特徴。それぞれの個性をフィギュアにした「名刺」です!Business cards by 3Dwergen

こんな鮮やかな色まで出せるのがマルチカラー3Dプリントの特徴。それぞれの個性をフィギュアにした「名刺」です!Business cards by 3Dwergen

1.マルチカラー3Dプリントの仕組みを知る

マルチカラーi.materialiseの提供する素材群の中では唯一色付きの3Dプリントが可能な石膏素材。まずはその特徴と造形の仕組みをおさえましょう。

Multicolor 3D printing mechanism-1

マルチカラーは細かな石膏の粉をベースに「カラージェット」と呼ばれる方法で下から積み上げるように3Dプリントされています。3Dプリントは造形機内に薄く敷かれた石膏の層からスタート。その上に設置されているプリントヘッドが3Dデータに従って、指定の場所に接着剤を少しずつ落としていきます。1層目が完了したら台が少し下がってその上にローラーが再度薄い粉の層を広げます。このとき接着剤が落とされた箇所だけ少しずつ粉が固まり、最終的に造形物ができあがるしくみです。

Multicolor 3D printing mechanism

造形時に使う接着剤は、平面印刷に使うインクと同じく4原色に塗り分けられています。これらの接着剤を混ぜながら3Dプリントすることで、1670万もの異なる色を表現できるという訳です。造形後すぐの状態は脆いままですが、強力接着剤を表面に塗る事で強度を補います。更に日光による変色を防ぐため、UVコートも上塗りしたら完成。水に濡らすと染みになり色もぼやけてしまうので、造形品受け取り後は湿気の少ない場所で保管しましょう。

 

2.強度が高く、なるべく安いモデルをデザインする

マルチカラー石膏を使って非常に薄く細かい部分を3Dプリントすることは技術的に可能ではありますが、おすすめはしていません。石膏の粉から作られたモデルは強力接着剤でコーティングしても、基本的には脆いままだからです。

完成した3Dプリントの仕上げや輸送時、1.5mm以下の薄い箇所はこわれてしまう可能性があります。サポートされている(他の箇所に繋がっているなど)箇所の最小肉厚はモデル全体の寸法によって変わります。X,Y,Zの各値が100mm以下の場合、推奨している最小肉厚は1.7mm。X,Y,Zの各値が100mm以上250mm以下の場合は少なくとも2mmの肉厚に、X,Y,Zいずれかの値が250mmを越える場合は少なくとも3mmの肉厚を持たせてください。

サポートされている箇所の最小肉厚はX,Y,Zの値によって変わります。

サポートされている箇所の最小肉厚はX,Y,Zの値によって変わります。

大きく複雑なモデルが破損しないよう、肉厚を5mmに設定することも可能です。この場合、更に硬く安全な取り扱いのできるモデルになります。10mm以上の肉厚はより強度が高いので、例えば建築モデルの土台部分などはこの程度の厚みを持たせるといいでしょう。

長く重いサポートが少ないパーツ(フィギュアの腕)などは、薄いと壊れてしまうことがあります。こうしたパーツはなるべくその他の箇所とつなげて強度を確保しましょう。以下の例ではシャベルが腕とベース部分をつなぎ、サポートの役割を果たしています。

長く突き出した箇所は他のパーツで支えられるようにすると強度がアップ。

長く突き出した箇所は他のパーツで支えられるようにすると強度がアップ。

これはフィギュアの髪の毛をデザインするときも同じ。髪の毛はフィギュアの肩などで支えると強度が高まります。モデルを台に乗せるときも台とモデルに3つ以上の接点があるといいでしょう。どんなにしっかり梱包されていても細い脚などは輸送中に壊れてしまう可能性があるので、デザインの工夫でリスクを減らす努力が必要です。

最後に重要なポイントは、造形代を下げるためにモデルの内部を空洞にすること。マルチカラーの造形代は体積を元に計算されるので、内部を空洞にして底に穴を空けて余分な素材が外に出るようにしておけば、3Dプリントの代金がお安くなるのです!

十分な肉厚を残して内部は空洞に、穴を2つ以上空けて中の素材を逃がせば、造形代の節約に!

十分な肉厚を残して内部は空洞に、穴を2つ以上空けて中の素材を逃がせば、造形代の節約に!

モデル内部には2から3mmの肉厚を残し、目立たない場所に2つ以上の穴を空けましょう。穴の直径を5mm以上にしておくと、内部の素材を逃しやすくなります。穴を空けずに余分な粉を内部に閉じ込めたままにしておくと、モデルが変形したり、粉の重みで細かい箇所が壊れてしまったりする恐れがあるので注意!その他のデザインに関する注意事項もマルチカラーのデザインガイドで確認しておきましょう。

 

3.思い通りの発色になるよう色を調節する

造形時に着けられた色は、コンピューター画面上で見る色よりもくすんで見える場合があります。その理由はスクリーン上ではRGB(Red, Green, Blue)で表現されている色が、3Dプリント中に色を付ける際にCMYK(Cyan, Magenta, Yellow, Key)というカラーモデルに変換されるためです。

コンピュータ上の色は3Dプリントしたサンプルの色と比べて鮮やか。

コンピュータ上の色は3Dプリントしたサンプルの色と比べて鮮やか。

RBG式でもCMYK式でも、これらの原色を混ぜ合わせることで全ての色を表現しています。異なる色の絵の具を混ぜる時と同じように、CMYK式でも異なる色を混ぜあわせる際は色がくすんだ感じになります。全ての色を混ぜると黒が表現できます。一方RGB式では異なる色を混ぜると元の色よりも明るめになります。全ての色を混ぜ合わせると、CMYK式とは逆に白が表現されます。

multicolor 3D printing design guide RGB and CMYK

そのためコンピューター画面で作成したテクスチャの色に比べて、造形品の実際の発色は暗めでくすんだ印象になります。画面で鮮やかに見える色ほど実際の造形品の色との違いが大きくなりがちです。仕上がりの色を鮮やかに見せるためには、コントラスト、ガンマ補正、彩度を高めに設定しておくといいでしょう。この操作はフォトショップを始め、GIMP, IrfanViewなど多くの画像編集ソフトで可能です。

3Dプリント用の書き出し前にコントラスト、ガンマ値、彩度(サチュレーション)を全て高めにしておくのがおすすめ。

3Dプリント用の書き出し前にコントラスト、ガンマ値、彩度(サチュレーション)を全て高めにしておくのがおすすめ。

またコンピューター画面の色合いは設定を変えて調整が可能なため、造形物と画面上の色味の違いが大きく感じられることもあります。モニターの種類によっても発色は変わってきます。それとは別に、造形時に表現できる色域はモニターで表示できるものよりも狭いことも色が違って見えてしまう原因です。肌の色など表現が難しいもの、特定の色にこだわりたい場合などは一度小さいモデルでテストプリントをし、発色を確認してみるのも手です。

マルチカラー3Dプリントできれいな肌色を表現するのは意外と難しい。Human face by Eric van Straaten.

マルチカラー3Dプリントできれいな肌色を表現するのは意外と難しい。Human face by Eric van Straaten.

4.テクスチャと共に3Dモデルをアップロードする

3Dプリント時に色を付けるためには、3Dプリンタに「どの部分を何色で塗るのか」を伝える必要があります。この「テクスチャ」と呼ばれる色情報は、マルチカラープリントをするなら必ず必要になるもの。

Colored stl, vrml, skp, daeなどのファイル形式を使うなら、色情報を直接3Dモデルに付けることができます。こうしたファイル形式のモデルであれば、そのままi.materialiseのサイトにアップロードするだけで画面上のプレビューにも色が反映されます。

カラー付きSTLで書き出されたピグインをこちらにアップロードすると、色付きのプレビューが表示されます。

カラー付きSTLで書き出されたピグインをこちらにアップロードすると、色付きのプレビューが表示されます。

一方obj形式の3Dモデルを使う場合は、mtl, jpgの2つのファイルも同時にアップロードする必要があります。Objにはモデルの立体形状に関する情報、mtlにはどこに指定の色を置くかの情報、jpgにはどんな色を用いるかの情報が書き込まれています。3Dプリントの注文時には、これらを全てまとめてzipファイルとして圧縮してからアップロードしましょう。Zipファイルをアップロードしてもプレビューに色は表示されないことがありますが、注文後のモデルチェックで色情報が読み込まれていないと判断された場合は製造開始前に個別にご連絡するのでご心配なく。

5.作品に合った仕上げを選ぶ

最後のステップは仕上げのチョイス。現在i.materialiseではマットとグロスの2種類の仕上げ加工を用意しています。造形の最後に施すUVコートが薄いのがマット、厚めなのがグロス。グロス加工をしたモデルはツヤがあり、つるつるした表面に仕上がります。また通常、発色もマットよりグロスの方が鮮やかに見えます。同じ作品でも仕上げによって雰囲気を変えられるのが楽しいですよね。

左がマット、右がグロス仕上げです。Piguin by Bert de Niel

左がマット、右がグロス仕上げです。Piguin by Bert de Niel

人気ゲーム「クラッシュ・オブ・クラン」の制作会社がi.materialiseを通じて3Dプリントしたフィギュア。こちらはマット仕上げです。

人気ゲーム「クラッシュ・オブ・クラン」の制作会社がi.materialiseを通じて3Dプリントしたフィギュア。こちらはマット仕上げ。

携帯ゲーム「おしゃべり猫のトーキング・トム」に登場するキャラを3Dプリントしたこちらはグロス仕上げ。ゲームキャラをカスタマイズできるアプリToyzeを通じてデザインされました。

携帯ゲーム「おしゃべり猫のトーキング・トム」に登場するキャラを3Dプリントしたこちらはグロス仕上げ。ゲームキャラをカスタマイズできるアプリToyzeを通じてデザインされました。

さらにマルチカラーについて知りたい方には、マルチカラーの3Dプリント技術について解説した「知ってるようで知らない3Dプリント技術『カラージェット』編」がおすすめ。アプリを使ってマルチカラー3Dプリントを試したい方は「普通の写真を色付き3Dモデルに変えてくれる無料アプリSmoothie-3Dの使い方」や「123D CatchとZBrushを使ってリアルな自分フィギュアを3Dプリントする方法」も読んでみては?

 - 3D Print Technology, 3DPrint NEWS ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

遂に実現!!3Dプリンティングの産みの親”小玉秀男氏”と東京メイカー毛利名人のセッション

昨日、馬場錬成先生の21世紀構想研究会にお招き頂き、念願の3Dプリンティングの産 …

Nakamura(店長)   |   2198 Views
【いそっぷ3DCAD塾】Rhinocerosを使って24分で机のモデリングするときのコツとは?!

久しぶりにRhinoでモデリングしている動画をUPしました。   制作 …

いそぷろ   |   1392 Views
3Dプリンターで自転車にスピーカーを搭載してみた【道交法対応チャリモノラル】

※この記事は音楽を聴きながらの自転車の運転を推奨するものではありません こんにち …

YOKOITO   |   5708 Views
【幻のエンブレム】話題になった東京オリンピックエンブレムを3Dプリントしてみた【復刻?】

こんちは   ちょっと前の話ですが、だいぶ話題になりましたね。このエン …

UTB   |   1948 Views
【カニミソのヲタ活!!】おそ松さんのだるま落としをFusion360と3Dプリンターで作ろう!もちろんハンマーも!?

冬ですね。冬といえば、蟹が美味しい季節です。カニミソです。 ところで、今、ハマり …

かにみそ   |   2673 Views
ハンドメイドジャパンフェスの中で「デジタル」を叫ぶ!

すべてのジュエリーをデジタルに変える男!!デジタルジュエリーの佐藤善久です。 & …

デジタルジュエリー@佐藤   |   1522 Views
【「あッ 3Dプリンター屋だッ!!」毛利顧問・中村店長 TasmeemDoha2015でインタビュー】

カタールに出張中の、毛利顧問と中村店長が会場でインタビューを受けています。 2人 …

Shinjiro Yamada   |   1312 Views
今からでも勉強会の参加はOK?!みんなが気になる3DスキャンとMeshmixerってなんだ?!

さてゴールデンウィークが終わりましたが、まだ休みボケが抜け切れていない方々に向け …

Nakamura(店長)   |   1954 Views
3Dプリンターでコイを登らせよう!!【5月5日はこどもの日】

こんにちは、毎年ギリギリまで5月人形を飾り忘れて、当日慌てて出しちゃうダメ親父な …

毛利 宣裕   |   2359 Views
【知らないと損をする!!】簡単アプリで3Dデータが作れる!!Customizer by MakerBotをキミは知っているか?!

ある日 増えていく3Dプリンターのカタログを綺麗に飾れないか?!と思い&#823 …

Nakamura(店長)   |   1898 Views